鍼灸とは
鍼灸は一般に「はり・きゅう」または「しんきゅう」と呼ばれ、
疾患や症状に適した経穴(ツボ)に金属の細い針を刺入したり艾(もぐさ)を置いて燃焼させたりなど、
生体に刺激を加えることで元々身体に備わっている病気を治す力を高めて元気にする治療法です。
鍼施術について
極めて細いステンレス製あるいは銀製の鍼
(長さ約15mm~90mm、太さ直径約0.10mm~0.30mm)を用いて
身体に刺入いたします。
皮膚を通過した鍼は適切な深さまで体内に刺入されますが、
その際、鍼灸師によって手技が加えられます。
手技には、目的の深さま刺入し直ぐに抜く単刺術(たんしじゅつ)
刺入中もしくは目的の深さまで刺入して鍼を上下に動かす雀啄術(じゃくたくじゅつ)
刺入した鍼を回旋させる回旋術(かいせんじゅつ)
振動させる振せん術(しんせんじゅつ)
刺入した鍼をそのまま10~15分間とどめておく置鍼術(ちしんじゅつ)など、
様々な技法があります。
また、刺入した鍼を電極にして低周波の微弱な電気を通す方法もあり、
いずれの方法も鎮痛や筋緊張緩和、血液循環改善などに効果のあることが証明されています。
その他、特殊な方法として、
鍼を刺入せず専用の道具で皮膚を摩擦・接触・押圧するだけの施術法もあり、
小児の夜尿症・夜泣き・疳虫・風邪予防などの治療には、おおよそこの方法を用います。
また、置鍼した鍼の柄に球状の艾を差して燃焼させることで、
鍼の機械的刺激と灸の温熱刺激を同時に与えようとする灸頭鍼(きゅうとうしん)
という方法もあります。
なお現在、鍼は使い捨てにしている鍼灸院がほとんどです。
灸施術について
灸とは、艾を用いて経穴に熱刺激を加える方法で、「やいと」と呼ばれることもあります。
その方法は、艾を直接皮膚上で燃焼させ灸の痕(あと)を残す有痕灸(ゆうこんきゅう)と、
灸の痕を残さない無痕灸(むこんきゅう)の大きく2つに分けられます。
有痕灸には、良質の艾を糸状~半米粒ほどの大きさの円錐形にし、
直接皮膚上で燃焼させる透熱灸(とうねつきゅう)や、
イボやウオノメを灸の熱で焼き切る焦灼灸(しょうしゃくきゅう)があります。
このような皮膚上で艾を燃焼させる灸の施術法は、
昔から日本で盛んに行われてきた方法で、
秀吉をはじめとする戦国武将たちが健康のために日頃から灸をすえていたことや、
松尾芭蕉が奥の細道で三里のツボに灸をすえながら旅をしたことはとても有名です。
最近は日本でも灸の痕ができることからあまり行われなくなってきましたが、
免疫活性に非常に効果のあることが証明されています。
無痕灸には、米粒ほどの艾を直接皮膚上で燃焼させ、
患者の気持ち良い熱さで消火あるいは艾を取り除く知熱灸(ちねつきゅう)、
艾を皮膚から距離を置いて燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える温灸(おんきゅう)、
皮膚上に生姜・にんにく・味噌・塩などの介在物を置き、
その上で艾を燃焼させる隔物灸(かくぶつきゅう)などがあります。
その他、艾や火を使用しない機械式の灸なども考案されています。
スポーツ分野や美容分野にも
近年ではスポーツ選手の痛みのケアや疲労回復にも積極的に取り入れられており、
痛みの治療のみならず、怪我の予防や精神的な定にも役立っております。
美容分野での鍼治療も広がり、多くの鍼灸院でおこなわれております。
皮膚に細い鍼で刺入することで血流が良くなり「くすみ」「しみ」なども
改善される ことが報告されております。